相続税、贈与税

2017年11月 9日 木曜日

税理士による書面添付|相続税の添付割合は増加中

 先月下旬、「平成28事務年度国税庁実績評価書」が財務省から公表されました。
 ここでは、国税庁が国の機関として、事務の実施基準を定めて、達成すべき目標を設定し、その目標に対する実績を評価しています。

 この評価書の中に「税理士業務の適正な運営の確保」が取り上げられ、その項目の1つとして「書面添付制度の普及・定着に向けた取組」があります。
 書面添付制度は、税理士等が税務の専門家の立場から申告書がどのように調製されたかを明らかにすることにより、正確な申告書の作成・提出に資するとともに、税務行政の円滑化・簡素化が図られ、また、添付書面の作成者である税理士の社会的信用の向上にもつながり、ひいては信頼される税理士制度の確立に結び付くものだと、説明されています。
 具体的には、税理士申告書を作成するに当たり、「計算し、整理をし、又は相談に応じた事項」を記載した書面を添付します。

 税理士の書面添付があると、税務署が調査をすると事前に通知するに、税理士への意見聴取を行うのが原則になります。また、税理士への意見聴取の結果、調査の必要性がないと認められた場合には、税理士にそのことを記した文書が送られます。
このように、税務当局は書面添付を重視する体制を整えています。

 そのおかげなのか、書面の添付割合は増加傾向にあり、平成27年度と28年度は次のような統計が出ています。
所得税 1.2% → 1.3%
法人税 8.6% → 8.8%
相続税 13.6% → 15.6%

 ここからは、相続税に絞ってお話ししますと、添付割合は、平成24年度の7.3%から4年間で倍増しています。
 相続税申告の約4件に1件が税務調査の対象となっている中、書面添付に記載する内容により税務署の疑問点が解消したり、意見聴取の段階にとどまる効果が認められ、書面添付を重要に感じられているのかもしれません。

 相続税の書面添付を実施するには、相続人の方と何回もお会いして、書類や資料を収集して、亡くなった方やご家族のことを様々お聴きすることが、必須になります。
 所得税や法人税と異なり、税額計算に役立つ根拠書類が整理・保管されていることは、あまりありません。そのため、資料をどんどん集め、その中から有用なものを見つけ出し、調査と聴き取りを重ねて、分析と判断を繰り返します。そして、相続人のみなさんの意思確認を経て、事実確認と税務判断の結果を書面にまとめます。
 その書面では主に、各種の財産と債務を補足説明するとともに、どのように調査したかを記載します。ある種類の財産は調べても見つからなかったことを書くこともあります。

 豊中に事務所があります岡本会計事務所では、相続税の申告のお手伝いを積極的にさせていただきます。そして、相続税の書面添付を必ず実施して参ります。
フリーダイヤルハロートヨナカ(0120-86-1047)、またはこちらのリンク先まで、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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2017年10月13日 金曜日

広大地評価の改正|来年から「地積規模の大きな宅地」に

 相続税贈与税を申告するに当たり、土地の評価は国税庁が定めたルールに従いますが、面積が広い土地の多くは、通常より評価が低く評価することが認められています。
 このことは専門家以外には詳しく知られていないでしょうが、来年から評価方法が大きく見直されます。

 財産評価のルールは、国税庁が「財産評価基本通達」で定めていますが、この通達改正することが先週に発表されました。
 「広大地」に関する定めを全面的に廃止して、新たな規定を設け、名称まで「地積規模の大きな宅地」に変更しています。

 実は通達改正に先立ち、国はパブリックコメントを募集するため、改正案が公表されており、そのことは数カ月前にも話題にしました。(その記事はこちら
 この手続きを経て正式な改正に至りましたが、市街地農地などが対象になると明記したこと以外、案からの変更はありませんでした。

 「地積規模の大きな宅地」に該当するためには、次の2つの要件を満たさなければなりません。
○地積要件:豊中市のような三大都市圏は500㎡以上
○地区要件:評価通達の「普通住宅地区」または「普通商業・併用住宅地区」に所在
→ ただし、次に該当すれば対象外
・市街化調整区域で開発行為が不可能
・都市計画法の工業専用地域
・指定容積率が10分の40以上の地域
 今年までの広大地では、要件の判断が難しかったのですが、基準が明確になっています。

 計算方法については、まず従来の広大地を示します。
○評価額 = 正面路線価 ×「広大地補正率」× 地積
・広大地補正率 = 0.6 - 0.05 × 地積/1,000

 一方、地積規模の大きな宅地は、土地取引の実態を踏まえて各土地の個性に応じて形状や面積に基づき評価する考えから、このように計算します。
○評価額 = 正面路線価 × 側方加算など × 奥行価格補正率 × 地積 × 不整形地補正率などの各種画地補正率 ×「規模格差補正率」
・規模格差補正率 =(地積×B+C)÷ 地積 × 0.8
 三大都市圏の     B と C
   500~1,000㎡  0.95  25
  1,000~3,000㎡  0.90  75
  3,000~5,000㎡  0.85  225
  5,000㎡以上    0.80  475

 この改正は、平成30年1月1日以後の相続や贈与により取得した土地に適用されます。今年12月までの相続などの場合は、従来どおりに取り扱われます。

 相続の時期を動かすことはできませんが、生前贈与をいつにするかは契約当事者が決められます。
そこで、所有している土地で「広大地」の適用が可能で、「地積規模の大きな宅地」としての評価と比べてみたところ、広大地の評価の方が大幅に低いとわかったとしましょう。
そのとき、平成29年のうちに子や孫に贈与してしまい、贈与税の特例として相続時精算課税制度を使って、将来の相続税を節税することも考えられるかもしれません。

 逆に、開発道路の負担がない土地やマンション適地は「広大地」の要件を満たさないのですが、「地積規模の大きな宅地」には該当する場合、生前贈与を来年まで待つ選択もあります。

 豊中に事務所があります岡本会計事務所では、広い土地の評価はもちろん、相続税や贈与税の申告のお手伝いを積極的にさせていただきます。事前の相談も含め、フリーダイヤルハロートヨナカ(0120-86-1047)、またはこちらのリンク先まで、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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2017年9月29日 金曜日

相続税額の2割加算の対象|相続財産の寄付による非課税

 亡くなった方から相続などにより財産を取得したとき、全体の額が一定の規模以上の場合には、相続税の申告と納付が必要になってきます。
そのとき、配偶者(結婚相手)や以外の方に対しては、ほかの方に比べて、相続税額2割加算されて計算されます。
 遺産形成の貢献度合いの差、遺産取得の偶然性、孫に遺贈すると課税を1回とばすことが理由だと説明されています。

 そのため、亡くなった方の兄弟姉妹甥姪が相続人となった場合は、2割加算の対象になります。
 ひ孫、兄弟姉妹や甥姪が遺言で財産を受け取った場合も、血縁関係のない友人の場合も、やはり2割加算になります。

 もっとも、やひ孫であっても、子が先に亡くなったために代襲相続をする場合は、加算されません。
 そのほか、亡くなった方の養子については、子に該当するので、加算の対象になりませんが、孫が養子になっている場合(代襲相続である孫養子を除く)には、2割加算の対象になります。

 ここまでは相続税が増える話でしたが、減るどころか課税されない場合があることも、お伝えします。
 相続などで取得した財産を一定の公益法人などに寄付した場合には、その財産について相続税が非課税になる特例があります。

 この特例を受けるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
・寄付した財産は、相続や遺贈によって取得した財産であること。
・相続財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。
・寄付先が地方公共団体のほか、教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定公益法人(独立行政法人や社会福祉法人公益社団法人、一定の学校法人、日本赤十字社または認定NPO法人など)であること。
・相続税の申告書に一定の証明書類を添付すること。

 また、次の場合には、非課税の特例が受けられなくなりますので、ご注意ください。
・不動産や有価証券などを現金化してから寄付した場合
・寄付を受けた日から2年間の間に特定公益法人が公益を目的とする事業の用に使っていない場合
・寄付者又はその親族などの相続税又は贈与税の負担が結果的に不当減少することとなった場合

 なお、一定の要件を満たす場合には、相続税の非課税だけでなく、寄付をした相続人の所得税の確定申告で寄附金控除も可能になります。

 豊中に事務所があります岡本会計事務所では、相続税の申告のお手伝いを積極的にさせていただきます。相談や試算も含め、フリーダイヤルハロートヨナカ(0120-86-1047)、またはこちらのリンク先まで、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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2017年7月31日 月曜日

非上場株式の評価の改正|平成29年から利益の要素を縮小

 相続や贈与で株式を取得したとき、上場株式であればその価値を算出しやすいのですが、取引相場のない株式となると、価値がどれだけあるのか決めるのに戸惑うことでしょう。
 そこで、相続税や贈与税の算定に当たっては、様々な要素を反映させる評価方法が「財産評価基本通達」に定められ、これに従うことが求められます。

 この評価方法を変更すると、去年12月には方向が示され、今年5月中旬に内容も確定しました。
 平成29年1月1日以降に相続が発生して遺産に非上場株式がある場合や、平成29年1月以降に非上場株式の贈与を受ける場合、さっそく新しい評価方式が一律に適用され、それより前は従来の方法が使われます。

 まず、原則的に「類似業種比準価額方式」と「純資産価額方式」の組合せで評価しますが、「類似業種比準価額方式」の計算が大きく変更されています。
 この方式は、上場企業の業種別の毎月の株価「類似業種の株価」を基に、3つの要素における上場会社に対する評価会社の割合を反映させるなどして計算します。

 この要素の比重が次のとおり変わります。
配当金額:利益金額:簿価純資産価額
1::1 → 1::1
 また、「類似業種の株価」の採り方は、当月の株価だけでなく、前年平均などから最も低い額が認められています。そこに課税時期の属する月以前2年間平均も追加されました。
 そのほか、上場会社の各要素に連結決算を反映することになりました。
 こうしたことから、好業績の会社にとって株価が低くなり、内部留保の厚い会社は株価が高くなるものの、全体的に株価が抑えられる傾向が出ると考えられます。

 一方、2つの方式の組合せですが、評価会社規模によって採用する比重が異なります。
規模について、「従業員数」「直前期末以前1年間の取引金額」「簿価総資産価額」に従い、大会社・中会社(3分類)・小会社に区分します。そして、小さい会社ほど「純資産価額方式」の比重が高くなり、大会社は「類似業種比準価額方式」のみで評価できます。

 以前は従業員数が100人以上の会社が必ず大会社になりましたが、改正後は従業員数が70人以上で大会社になります。
 これ以外の規模の区分は、複雑な判定を要しますが、従来よりも基準の数値が下げられていることが多いです。(一部の基準は上がっています。)
 こうしたことから、大会社や中会社に該当する会社が増える傾向になり、類似業種比準価額方式の比重が高まり、株価が低くなりやすいと考えます。

 もっとも、個別の株式評価に当たっては、評価方法が複雑である上、株主構成や取得する人によっても評価が異なるため、専門家である税理士にきっちり相談することをお勧めします。

 豊中に事務所があります岡本会計事務所では、非上場株式の評価を始め、相続税や贈与税の申告のお手伝いを積極的にさせていただきます。フリーダイヤルハロートヨナカ(0120-86-1047)、またはこちらのリンク先まで、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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2017年4月20日 木曜日

私道供用宅地に該当するか|相続税の評価を巡る最高裁の判断

 今年2月のことですが、相続税の評価に関して、最高裁判所が判決を出しました。
土地の評価を巡って、納税者と課税庁が裁判で争い、最高裁判所まで持ち込まれたのですが、納税者有利の判断が示されましたので、紹介します。

 まず、相続税や贈与税の評価において、民間人が所有するけれども、私道の用に供されている宅地の評価額は、路線価などを用いて通常の評価をした額の3割またはゼロとされています。
 その私道が行き止まりのように、もっぱら特定の人しか通行しない場合、使用収益に一定の制約があるため、3割に減額されます。
 一方、通り抜け道路のように、不特定多数が通行する場合、もはや私有物として自由な使用収益ができるものではないため、評価しないことになります。

 今回の裁判では、相続が生じた住宅敷地が市道に面しており、敷地内にある市道に沿った幅2メートルの歩道状空地が、私道に該当するかどうかが問題となりました。
納税者側(被相続人)がこの歩道上空地を設けたのは、都市計画法の開発行為を行うに当たり、市役所から歩道部分を設けるように指導されたのが理由です。

 地方裁判所と高等裁判所では、建築基準法上の接道義務を果たすために道路にしなければならず、そのため建築や変更に制約がある場合が、私道供用宅地に該当すると解釈しました。その上で、問題の歩道状空地は、法令上の制約はないことを理由に、私道供用宅地ではないと判断しました。

 しかし、最高裁判所では、私道としての利用に関する建築基準法等の法令上の制約の有無のみならず、位置関係、道路としての利用状況、他の用途への変更の難易などに照らし、当該宅地の客観的交換価値に低下が認められるか、その低下がどの程度かを考慮して、評価の減額を決定すべきと示しました。
その上で、問題の歩道上空地は、第三者による自由な通行の用に供されており、開発許可を受けるため市の行政指導により私道となったもので、道路以外に転用することが容易とは認めがたいとしました。そして、減額評価する必要がないとはいえないと判断しました。

 実際の裁判は、更に審理を要するため、高等裁判所に差し戻されました。
 今後、私道に該当するかを判断するに当たり、経過や現状の把握など、きめ細かい対応が必要になってくると考えます。

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